Hulu_DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機(2021)_ダニー・ストロング製作総指揮
https://www.youtube.com/watch?v=spTssejGN-o
「バットマン」のマイケル・キートンが主演と製作総指揮を務めた、全8話構成のドラマシリーズ。実際に起こった事実を元にし、ニューヨーク・タイムズのベストセラーにもなったベス・メイシー著の「DOPESICK~アメリカを蝕むオピオイド危機~」が原作の社会派ドラマ。ある企業が開発したオピオイド系鎮痛剤が誤ったマーケティング・キャンペーンにより蔓延し依存症患者が激増したアメリカ歴史史上最悪の状況を、大手製薬会社、バージニア州の鉱業所、麻薬取締局の内部などさまざまな視点で実態を描く。
見ておきたかった。アメリカの社会問題や政治を理解するためには、このオピオイド問題をガッツリ押さえておく必要がある
この作品も見られてしまう日本のDisney+、便利過ぎる
キャラクタードラマな部分もあるが、基本的にはドキュメンタリータッチの重厚な社会派作品
時系列が行ったり来たりするのが若干見づらいが、頑張って分かりやすく工夫していると思う
1話目から本当にウンザリする話の連続。アメリカのクソな一面。大企業主体の規制緩和、大企業と規制当局、司法当局の癒着。FDAから製薬業界への天下り。金銭の追求によるマーケティングの悪用で社会をぶっ壊す
弱ってる鉱山労働者が多い地域を狙い撃ちしてマーケティングを始めるとは鬼畜の所業
疼痛治療の専門家が無責任に新薬を宣伝。専門家の責任とは・・
製薬会社がNPO的な第三者を装って怪しげな科学的風の根拠で売り込み
販売員・営業が果たした役割がリーマンショックに似ていると感じた(この営業員たちも、また田舎から出てきて成り上がるしかない素朴な面がある)
大金と守秘義務契約(訴訟脅し)で恫喝して悪事を隠蔽(Me tooの本で読んだのと同じ構図)
依存症の描写もリアルでつらい。ただ、逆にそこがこの問題から逃げず、エンタメとして消費しない、製作陣の真摯さなのだろうと思う。製作総指揮もしているマイケル・キートンの男気を感じた 最後の終わり方もアンチクライマックスだったが、製作陣が本当に真面目なのだろう
ケイトリン・ディーバーはよく見る若手役者さんだが、「不憫」な役が板につき過ぎでなんか可哀想
それにしても、このオピオイド、マイケル・ジャクソン、プリンス、ヒース・レジャーほか有名人でも多くの方が亡くなったと言われている。アメリカ独特?の社会問題であり、怖い。新型コロナ関連においても、日本の薬事行政が叩かれる場面を目にするが、誇れる部分も多いのだろう
参考文献
「日本でのオピオイドクライシスを防ぐために」―製薬会社の立場から 林 伸治, 高薄 敏史, 山口 重樹
この問題にはマッキンゼーも深く関与した。合法ではあったようだが、、、。この辺りはドラマには描かれていない。さすがに訴訟リスクなどを考慮したのだろうと思う
社会を壊すのも専門家、社会を正すのも専門家、という感想が残った
ちょうど同時に、COTENラジオで日露戦争のシリーズを聴いているが、アヘン戦争のくだりで、この話を思い出した。依存性物質を金儲けに使うのはホントだめ。